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2006年10月27日掲載
エチゼンクラゲとズワイガニ

 今年も8月以降、エチゼンクラゲが但馬地域に来遊し、漁具の破損、漁獲物の品質低下、作業効率の低下など、定置網・底びき網を中心に大きな漁業被害を与えています。

 発生海域である東シナ海・黄海の温暖化・富栄養化や、同じプランクトン食の浮魚類が減ったことなどが大量発生の原因として指摘されていますが、まだまだわからないことの多い生き物です。

 傘径1m以上と巨体を誇る上に毒針で武装し悠然と泳ぐエチゼンクラゲですが、外敵がない訳ではなく、最近日本海でもなじみになってきたイボダイ(しず)や、カワハギ類など生きたクラゲを食べる魚は結構います。株の部分(口腕)を短冊状に切ったものはタイ釣りの餌にも使えるそうです。

 活力が落ちたクラゲはついには海底に横たわり、そこには新たな捕食者達が待ち受けています。海底のエチゼンクラゲを食べる生物としてヒトデ、クモヒトデ(五本足)、カニ類が確認されており、クラゲを餌にしたカゴにはヤドカリ、ヨコエビ(すむし)、巻貝なども入網します。そして、昨年当センターの実験で、ズワイガニがエチゼンクラゲを食べることが世界で初めて確認されたことは、まだ記憶されている方も多いと思います。当初、半信半疑で始めた実験でしたが、その瞬間を目の当たりにした時はなかなか感動的でした。そしてこの事実は、エチゼンクラゲといえども生態系の一部であり食物連鎖に組み込まれていくこと、高級魚であるズワイガニが実は海底に多く存在するいわゆる掃除屋さんの一員であることを、改めて思い出させてくれました。

 クラゲ被害への現実的対処としてはクラゲだけを網外へ排出する漁具の改良を進めることが重要ですが、来遊量の増加が日本海の生態系や物質循環、ズワイガニなどの水産資源に与える影響についても答えを探って行く必要があると考えています。

(但馬水産技術センター主任研究員  大谷徹也) 

【写真】エチゼンクラゲを食べるズワイガニ

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