日本海沿岸（鳥取－兵庫海域）の海況予報（海の天気図）

（このページの情報は、日本海区水産研究所、九州大学応用力学研究所、鳥取県、日本海新聞（新日本海新聞社）との共同で発信しています）

　山陰沖を流れる対馬暖流は、時々刻々と変化しています。海の中にも高気圧や低気圧があり、海流や水温の変化に作用して、さらに様々な生物の分布や行動にも影響を与えます。例えば鳥取県の沿岸では、東向きの海流が時に西向きに転じて漁場環境が一変する、逆潮（さかしお）と呼ばれる現象が知られています。
　海洋観測と数値計算法の進展により、こうした海洋変動をかなり正確に再現し、予測することも可能になってきました。また国会では海洋基本法が成立し、海洋環境の利用と保全に対する意識も高まりつつあります。
　そこで、海洋関連産業全般に基礎的な情報となりうる、海面付近の流れの方向と強さ、および海水位を、「海の天気図」として公表する運びとなりました。海流の情報によって船舶の効率的な運航や漂流物の追跡が容易になり、海面の高低から深部の海流や暖水・冷水の分布を知り、ひいては漁場環境を類推することも可能になります。他にも、一学者が想像する以上の波及効果があることでしょう。最新の海洋科学が、山陰地方の各種産業の発展に寄与できると幸いです。
（九州大学応用力学研究所　准教授　広瀬直毅）

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